生涯学習プログラム

 2003年3月にヒトの全ゲノム解読が宣言されました。これはワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造を発見して以来、ちょうど50年後の歴史的出来事でした。近年、ゲノム創薬、再生医療はじめ、バイオ関連技術の社会への貢献には極めて大きな期待がなされていますが、いまだバイオ技術者の数が不足しているともいわれています。
  弊社の人材養成部門においてはバイオ技術者の養成の一環として、2002年9月に派遣スタッフのスキルアップを目的とした第1回の技術講習(遺伝子技術、細胞技術)を行いました。これをもとに人材養成事業をさらに充実・発展させるべく実験室を併設し、2003年11月には これまでの遺伝子技術、細胞技術に加え、タンパク質分析を行うバイオ技術コースと、一般の方々にもバイオに親しんでいただくためのバイオ体験コースをスタートさせました。さらに、ITを初めとする異業種の企業の方々にもバイオの実験を体験していただく企業研修コース、既成のプログラムにとらわれない自由なプログラムで実験していただくオーダーメードコースも 設けております(詳細はそれぞれのコースをご参照ください)。

本プログラムの特徴

少人数で充実した指導を受けられること
初心者でも受講できること
講習内容や日程を自由に選択できること
講習終了後も各自の希望に合わせて実験を続けることが可能なこと
  など

コースの紹介

1.バイオ技術コース
目   的 >> スキルアップを行いたい方のためのプログラム
対   象 >> 転職または再就職希望者、学校教員、学生、その他実験希望者
講習内容 >> 以下のとおり
 
A.遺伝子技術
初級1(DNA)-2日間
目 的 DNA基礎技術の習得
実験項目 マウス肝臓DNAの調製、制限酵素によるλDNAの切断、PCRによるDNA断片の増幅、アガロースゲル電気泳動による分析

初級2(RNA)-1日間
目 的 RNA基礎技術の習得
実験項目 マウス肝臓RNAの調製、逆転写によるcDNA合成、PCRによるcDNA断片の増幅(RT-PCR)と電気泳動

中級-2日間
目 的 各種遺伝子検査技術の習得
実験項目 マイクロサテライト解析によるマウス系統の鑑定、RT-PCR
※なお、初級の実験内容と一部重複しますが理論的に詳細な説明を行います

B.細胞培養技術
初級-2日間
目 的 無菌操作とクリーンベンチワーク、継代培養の習得
実験項目

培養器具の滅菌操作、血清の非働化、培養液の調製・無菌操作、継代培養、細胞の凍結と融解、生死細胞の分別染色と細胞数の計測、核の染色と蛍光観察


中級-2日間
目 的 初代培養細胞の調製とRT−PCRの習得
実験項目 マウス胎児線維芽細胞の調製、細胞のRNA抽出、RT−PCR

C.タンパク質分析技術(1日)
初級
目 的 タンパク質の基礎的解析技術の習得
実験項目

SDS−ポリアクリルアミドゲルの調製、マーカータンパク質および検体の電気泳動、染色とバンドの解析


中級(準備中)
目 的 二次元電気泳動によるタンパク質解析技術の習得
実験項目

血清タンパク質の二次元電気泳動による解析

※なお、卵子操作技術の講習については準備中ですが、準備が整い次第開始いたします。

D.生命誕生技術
初級-1日間
目 的 卵子および精子の取扱と体外受精技術の習得
実験項目 マウスの精子、卵子の採取と体外受精ならびにその後の発生観察

 

E.基本操作技術
初級-半日
目 的 バイオ技術に用いる試薬調整の原理と手技の習得
実験項目 電子天秤、pHメータの使用法の習得とモル濃度の計算方法の解説

 


2.バイオ体験コース
目   的 >> 初心者のための体験プログラム
対   象 >> バイオ関連技術に興味を持つ中学生から中高年までの幅広い年齢層
講習内容 >> バイオに関する先端技術の紹介と以下の講習
 
A.遺伝子体験コース(半日)
目 的 DNAの基礎を理解する
実験項目

(1)ヒト毛髪3本またはマウス肝臓からのゲノムDNAの調製
(2) PCR、電気泳動による遺伝子検査

B.細胞培養体験コース(半日)
目 的 細胞の増え方を学ぶ
実験項目

(1)培養細胞の観察
(2)トリプシン処理と継代培養、生死細胞の観察、核の染色と蛍光観察

C.生命誕生体験コース(半日)
目 的 受精現象を体外で観察を体験する
実験項目 ブタ卵子の採取と核の蛍光観察


3.企業研修コース
対   象 >> 法人、企業、各種団体など
講習内容 >> 最新情報の講義と以下の実験
 
A.遺伝子技術
DNA-2日間
目 的 DNAの基礎技術を理解する
実験項目

マウス肝臓DNAの調製、制限酵素によるλDNAの切断、PCRによるDNA断片の増幅、アガロースゲル電気泳動による分析


RNA-1日間
目 的 RNAの基礎技術を理解する
実験項目

RNAの調製、逆転写によるcDNA合成、PCRによるcDNAの増幅とアガロースゲル電気泳動による分析

B.細胞培養技術(2日間)
目 的 細胞培養の実際の手技の観察・実習と細胞への遺伝子導入法の実際を知る
実験項目

培養器具の滅菌操作、クリーンベンチワーク、血清の非働化、培養液の調製・滅菌操作、細胞の観察、継代培養、生死細胞数の分別計測、核の染色と蛍光観察

C.タンパク質分析技術(1日)
目 的 タンパク質解析の方法を知る
実験項目

SDS−ポリアクリルアミドゲルの調製、マーカータンパク質および検体の電気泳動、染色とバンドの解析

D.生命誕生技術
初級-1日間
目 的 卵子および精子の取扱と体外受精技術の習得
実験項目 マウスの精子、卵子の採取と体外受精ならびにその後の発生観察

※なお、実験機器を搬入しての出張研修も請け負いますのでご相談下さい。


4.オーダーメードコース
目   的 >> バイオ技術に関心のある方で自由な内容の実験を行うプログラム
対   象 >> バイオの実験を自由に行いたい方
講習内容 >> バイオ技術コースの実験内容を参考に、ご自身で行いたい実験を決めください(内容についてはご相談ください)

※なお、実験機器を搬入しての出張研修も請け負いますのでご相談下さい。


5.講義コース
2006年1月以降、基礎(入門コース)から各論と応用(専門コース)まで ご希望にこたえられる講義を順次開設します。
一般の方が理解できるレベルから大学院レベルまで、受講される方のレベルに合った講義を行います。
講義内容のお問合せや日程の調整など、ご遠慮なくご相談ください
 
入門コース
  A. バイオの基礎(半日)
 
目 的 バイオ全般に共通する基本的内容や基礎用語をわかりやすく解説する
講義概要 1)遺伝子、ゲノムとは何か
2)細胞の構造と働き
3)体の構成成分と働き
   
  B. バイオ技術入門(半日)
 
目 的 バイオ全般に共通する基礎技術をわかりやすく解説する
講義概要 1)ゲノムの解析
2)遺伝子の発現調節
3)細胞の培養
4)細胞の操作
5)タンパク質の解析
   
  C. バイオ技術の応用入門(半日)
 
目 的 バイオ技術の産業への応用について具体例を挙げて解説する
講義概要 1)遺伝子検査
2)ゲノム創薬
3)プロテオーム
4)再生医療
   
専門コース
  A. 遺伝子工学(全日)
 
目 的 遺伝子工学の基本技術と原理を解説し産業への応用について具体例を挙げて紹介する
講義概要 1)遺伝子の構造と機能(複製・転写・翻訳)
2)遺伝子発現調節のメカニズム
3)ゲノム解析(DNAシーケンス)・遺伝子検査
4)RNAi
5)個体レベルでの遺伝子発現
  (ノックアウト動物、トランスジェニック生物)
   
  B. 細胞工学(全日)
 
目 的 細胞工学の基本技術と原理を解説し産業への応用について具体例を挙げて紹介する
講義概要 1)培養細胞の種類と特徴
2)細胞培養
3)細胞周期
4)細胞の機能解析
5)細胞操作
   
  C. 発生工学(全日)
 
目 的 発生工学の基本技術と原理を解説し産業への応用について具体例を挙げて紹介する
講義概要 1)生殖細胞(精子、卵子)の形成
2)受精のメカニズム
3)胚の発生と分化
4)胚の体外培養、移植、凍結保存
5)生殖細胞操作(体外受精、顕微授精、クローン)
   
  D. 再生医学(全日)
 
目 的 再生医学の基本技術と原理を解説し産業への応用について具体例を挙げて紹介する
講義概要 1)胚性幹(ES)細胞の樹立
2)幹細胞の分取
3)分化誘導
4)臓器移植・細胞移植治療
5)生命倫理


講師紹介

岩崎 説雄(全技術分野、講義・実験担当)
   農学博士。専門は動物発生工学。国立神経センターにて流動研究員、東京農業大学大学院教授を経て、現在、(株)サイエンス・フロンティアズ代表取締役社長、東洋公衆衛生学院にて非常勤講師(遺伝子検査学実習担当)。1994−1995年、英国ロスリン研究所留学。著書に「バイオテクノロジー概論」(朝倉書店)、「クローン誕生」、「クローンと遺伝子」(ともにKKベストセラーズ)など。
竹内 祐幸(動物実験技術、講義担当)
   獣医学博士。専門は動物毒性学。カナダ、トロント大学医学部、日本ロシュ(現、中外製薬)研究員を経て、現在、アートアンドサイエンスインダストリー取締役。実験動物のエキスパート。
加藤 優美(機器分析技術、講義・実験担当)
   旭硝子(株)、横河電気(株)などを経て、現在、日本環境設備評価分析センター専務理事。HPLCによる治験をはじめ、機器分析のエキスパート。
その他、バイオ企業や大学の研究所にて活躍中の方が実験を担当いたしますので、最新の手法とテクニックを学ぶことができます。

受講日程・時間

<実験コース>
  全コース共通
全 日 10:00〜16:00(昼休憩60分)
半 日 13:00〜16:00
※受講日程についてはご希望の日程に添ってこちらで調整させて頂きます

<講義コース>
  全コース共通
全1日 10:00〜16:00(昼休憩60分、途中休憩10分)
全1.5日
10:00〜16:00(昼休憩60分、途中休憩10分)
13:00〜16:00(途中休憩10分)
全2日 10:00〜16:00(昼休憩60分、途中休憩10分)
10:00〜16:00(昼休憩60分、途中休憩10分)
※受講日程についてはご希望の日程に添ってこちらで調整させて頂きます


受講料

コース名 分野 レベル 受講料
バイオ技術 基本操作   9,000円
遺伝子 初級1 30,000円
初級2 25,000円
中級 38,000円
細胞 初級 38,000円
中級 40,000円
タンパク 初級 18,000円
生命誕生 初級 30,000円
バイオ体験 遺伝子 10,000円
細胞 10,000円
生命誕生 13,000円
企業研修 遺伝子 DNA 32,000円
RNA 24,000円
細胞 41,000円
タンパク 初級 20,000円
生命誕生 初級 30,000円
講義 入門 バイオの基礎 6,000円
バイオ技術入門 9,000円
バイオ技術の応用入門 9,000円
専門 遺伝子工学 15,000円
細胞工学 15,000円
発生工学 15,000円
再生医学 10,000円
オーダーメードコースは別途お見積もりいたします
費用にはテキスト代を含みます。また、白衣は弊社にて準備いたします。
研修を受講された方には受講後技術習得のため、お好きな日時に実験の復習を行うことができます。実験内容により異なりますが基本的な実習費用は1日3,000円、半日(午後)2,000円です。詳細についてはご相談下さい。

お申込み・お問合わせ

まずはメールまたは電話にて下記にお申し込みください。申し込み用紙をメール、ファックスまたは郵送にてお送りいたしますので、必要事項をご記入の上、ご返送ください。特に、実施日時については調整可能ですのでご相談ください。

 
TEL:03-5785-1198 (担当 岩崎 説雄)